依存症を治療するうえで大切なことと言えば、依存症にかかっている本人の意思です。依存症とわかれば、治療が必要と考えるのは自然なことですが、依存症の人が治療の必要性を自覚し、行動を起こさない限り、治療は上手くいきません。本人の意に反した治療は、望んだ結果が得られないばかりか、依存症を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。また、依存症の治療では、本人が依存症だと認めることが、最初の難関となることも少なくありません。
依存症の人は、頭ではわかっていても認められなかったり、何とかしたいと思う一方でまだ大丈夫と思ったり、葛藤を抱えていることも多いです。そんな時に、依存症ではないか、治療が必要ではないかと周囲に言われるとプレッシャーとなり、ますます頑なになってしまいます。心配や善意からの言葉であっても、追い詰めることになりかねません。また、依存症の治療は、時間がかかることも多いです。病気や怪我のように、症状がなくなったら終わりではなく、治療後に何年もの間大丈夫でも、ちょっとしたことがきっかけで再び依存症へと逆戻りしてしまうこともあります。
治療に臨む環境や本人の精神状態など、様々な要素が絡んでくるので、治療経過や必要となる治療期間は人によって異なります。治療が上手くいかなかったり、終わりが見えなかったり、苦しい状況に陥ったりすると、本人はもちろん、周囲にとっても大きなストレスでしょう。しかし、依存症から脱却することは、そう簡単ではありません。長期的な目線を持ち、治療を続けることが大切です。